スタジオジブリ物語
先ほど
日テレで放送された
スタジオジブリ物語、
面白かったです。
単なる
これまでのジブリ作品の
紹介番組かと思いきや
思いのほか
研究された濃い内容で。
紹介される
ジブリうんちくにしても
トトロが生まれる きっかけとなったのが
「パンダコパンダ」というアニメだった
という うんちくが
ジブリうんちくの
レベル1だとすると、
レベル3くらいまでのうんちくが
紹介されていたように思います。
ジブリアニメについて
あまり詳しくない私からすると
へーの連続。
番組の中で紹介された
作品の考察については
例えば風の使い方など
ホントかな、とも思うところはありましたが。
解釈のひとつとして
それぞれ興味深く。
もしかして
ジブリアニメについて考察した
似たような内容の
書籍があるのかもしれませんが
やはりアニメについての考察は
映像があった方が
分かりやすいのは確か。
映像も凝っていて
写真の画像が
動画っぽく
部分的に動いていたりして、
妙にお金がかかっていました。
作り方が俗っぽくなくて
日テレというより
どちらかというと
NHKっぽい番組でした。
番組中にでてくる
コメントの数々も
含蓄たっぷりで重く。
印象的だったのを
いくつかご紹介。
(ナウシカのイメージについて)
男よりも男っぽくて
女の子よりも女っぽい 【宮崎駿】
(同じくナウシカのイメージについて)
こういう人がいるだろう
というんじゃなくて
こういう人がいて欲しいっていう
つもりで作りました 【宮崎駿】
(ナウシカにでてくる蟲について)
一番みっともないものを出して
それが実は一番美しいんだっていう
価値の転倒をさせたいって気持ちが
自分の願望の中に
ものすごく強く働くんですよ、
本当に今これがいいとか
格好いいって言われているものが
本当にいいのか格好いいのか
コペルニクス的転回ってやつで… 【宮崎駿】
(東映動画に入社した当時について)
やりたいことがあったんじゃなくて
やれたらいいなってことがあっただけ、
東映動画に入った時もしばらく困ったですね、
5時になったらさっさと帰ってくる
(家で)やることなくても帰ってきちゃう、
組織に属したくないって
思ってました 【宮崎駿】
(影響を受けたアニメ「雪の女王」について)
多大な影響を受けている
甚大な影響って言ってもいい
アニメーションっていうのは
そんなに複雑に描くことはできないと思うんです
でも本当にひとつの「想い」なり
気持ちをシンプルに端的に描くと
非常に(心を)打つものが
あるんだと思うんですね。
こういう端的さで人の心を描けるのが
アニメーションなんだ
つまり想いを貫いていく表現として
アニメーションというのは
非常に優れた力をもっている
その例を見たんですよ、
だから「想いを貫く映画」を作る 【宮崎駿】
宮崎さんは労働組合事務所に
「クリエイティブな仕事ができる条件は
若くて貧しくて無名であること」と
張り紙しました。
当時の彼らの年齢は
かくの如し(宮崎駿(25歳)、高畑勲(30歳)、大塚康生(34歳))
【ナレーション】
理想化された子供像を
生き生きと描くというハイジの路線は
高畑さんよりも宮崎さんの方が
引き継ぐことになりました
【ナレーション】
イマジネーションの飛躍も驚きでした
そんな馬鹿なと思うような
ありえないアクションを思いつき
それにありありとした実在感を与えてしまうのです
【ナレーション】
宮崎さんのストーリー作りを
常識で解析しようとしてもできないんですよ、
どうも聞いてるとね、
自分でもコントロールできないみたいなんですよ、
出てきちゃうから仕方ない、みたいな
【大塚康生】
(未来少年コナンについて)
最終戦争をやってしまって
そのあと人間が生き残っているんですよね
アメリカのサバイバル映画なんかに
よくありますけど
廃墟が累々としてて砂漠になってる
そこに人が生きてるわけ、嘘だと思うんですね
土を本当に駄目にしたら人間は生きられないですよ、
人間が生き残っているっていうのは
実は自然が回復するとか
そういうことがあって植物が残ってくれているから
人間は生きられるんであって、そうでしょ
ぶっ壊しても自然が回復してくれるところが
日本人そのものだなって思うに至りましてね
【宮崎駿】
(鈴木敏夫が雑誌アニメージュの企画のための取材を
高畑に依頼するが断られる。
そこで替わりに高畑から紹介された宮崎駿が
鈴木に言ったセリフ)
僕にはしゃべりたいことが山ほどあります。
だから16ページよこしなさい。
【ナレーション】
(ナウシカ後、「もう二度と監督はやりたくない」と
宮崎監督が言ったことについて)
スタッフがいっぱいいるでしょ
その人たちに対して
言いにくいことを言わなければならない
何が起こるかっていうとね、
簡単に言うと友だちを失うんですよ、監督って
それで失った人数は半端じゃない
だから二度とやりたくない
【鈴木敏夫】
(ラピュタの製作中のインタビュー)
今、冒険活劇というのが
実は一番作りにくいんですよね
冒険活劇の一番大事な要素っていうのは
まだまっさらな少年がそれを通して
自立していくっていうか一人前になっていく
という体験であるべきだと思うんですよ
【宮崎駿】
(トトロについて)
日本を舞台にした映画を作らないと
借金がたまっている感じがしましたね
やっぱり自分のモノを感じたり考えたりする能力の
感じ方や考え方の一番奥にあるのが
やっぱりこの島の風土だなっていうのを
痛感せざるをえませんからね
自分自身が子供の時に
言い国だと思わなかったですからね日本を
そういう自分に対して
その時はいいと思わなかったけど
ずいぶん たくさんのものを
気がつかないうちに受け取っていたんだって
いう風な意味もあったんだと思うんですけど
【宮崎駿】
(トトロについて)
引っ越したところにお化けがいるんです、お化けが
でもヒュードロドロじゃなくて
水木しげる的なものでも
オバQ的なものでもないんです、何もしないんです
何も働きかけたりね、ごめんくださいって来る訳じゃなくて
そこに在ることによって
存在しているという意味があるっていう
風土ってそういうところがあるでしょ
【宮崎駿】
宮崎さんの最大のライバル、高畑監督が
トトロを絶賛していました。
「宮崎駿の最大の恩恵はトトロだと私は思う。
トトロは普通のアイドルキャラクターではない。
彼は所沢だけでなく日本全国の身近な森や林に
くまなくトトロを住まわせたのだ。
トトロは全国の子供たちの心に沁みつき
子供たちは木々を見ればトトロが潜んでいることを感ずる。
こんなに素晴らしいことは滅多にない」
【ナレーション】
(魔女の宅急便について)
その姿がちょうど今 高校出て東京に出てくる人たちの姿と
非常に似てるんですね
空を飛ぶっていう力はバイクに乗れるとか
そのくらいの力と同じなんですね
ですからこの映画を通じて今の若い人たちが
都会に出てきてなんとか暮らしながら
それぞれ壁にぶつかったり落ち込んだり
それを乗り越えたりしていく過程と
キキという女の子が13歳で独り立ちしようとする過程と重ね合わせて…
【宮崎駿】
(リアリズムを追求するのであれば
実写の方がいいのではないかという意見に対して)
実写の映像はほとんど現実と同じになっちゃってるんです
実写の映像を見ても、丁寧に観察なんかしてないと思うんです
ところがアニメーションにすると観察させられちゃう、描き起こしてるから。
現実よりはもっとくっきりと浮かびあがるんですよ、やってることが
あぁこんなことやってたんだ実は、ということに気がつく機会を
提供することになると思うんですね、アニメーションって
【高畑勲】
今 自分たちが一番クリアに直面している混沌とした難しい問題があるのに
とりあえず それはおいておいて
今日は元気にいきましょうという映画を作るかどうかっていう
それはもう終わりですね
【宮崎駿】
(もののけ姫 製作中のひとこと)
いいんだ通俗漫画だ
【宮崎駿】
人間がひける線の長さは地球7回り半、
僕はそれを超えました
【宮崎駿】
走るアシタカを描き直す宮崎さん、
恐るべき気迫、完全に画面内のアシタカに乗り移っていました
みるみるうちに別の性格のアシタカが現れます。
どんな障害物があろうと一直線、何も恐れない
こんな宮崎さんを評して高畑さんはこう言います
「高揚したエロスの火花によって理想が血肉化されるのだ」と
【ナレーション】
(千と千尋の神隠しについて)
主人公はどこにでもいる10歳の少女、千尋、いや少しぶーたれている
それは、囲われ、守られ、遠ざけられている
生きることが薄ぼんやりしている現代の子供を映したものでした
そんな子供がある状況に追い込まれ危機に直面すると
本人も気づかなかった生きる力を発見することになります
【ナレーション】
(千と千尋の神隠しについて)
世間に出ていくっていう、
出て行って自分の中に眠っていた力が湧いてくるって映画を
作ろうと思いました
若い友人たちがですね、そういう風に生きてほしいという願いと
たぶん自分たちが持っている力を
気が付きもしないけど持っているなと思ってるから
【宮崎駿】
ファンタジーを作るということは
普段開けない自分の脳みそのフタを開けることだ。
自分の深層心理の中で扉を開けていくんですよ、
そうすると突然道がつながってね、
これはこう自分がやりたかったことが分かったりするんですけど
それがこの世では全然通用しないことだったりするんですね
あんまり深く入りすぎると戻れなくなるんですよ
【宮崎駿】
かつて宮崎さんは言いました、
前よりちょっとましな人間になるために
映画を作り、映画を観るんです
【ナレーション】
長っ…。
ほとんど
自分のための
メモだったりしますので
一生懸命
読まなくて結構です。
上記の中だと
クリエイティブな仕事ができる条件は
若くて貧しくて無名であること
と
理想が血肉化される
ってのは
特にしびれました。
番組の終盤で
スタジオジブリの今後のキーワードは
「世代交代」「バトンタッチ」
となります
みたいなことが
言われていたのですが。
そうは言っても
今後
宮崎駿監督がいなくなったあとの
スタジオジブリは
ちょっと心配。
宮崎監督のような才能は
生まれにくいのでしょうか。
クリエイティブな
仕事ができる条件は
若くて
貧しくて
無名であること
と
いうことでしたが。
もしかしたら
今の物質的に恵まれた時代、
特にクリエイティブの世界に求められているのは
貧しさなのかも
しれませんね。
どうでもいいのですが
千と千尋の神隠しにでてくる、
ペンギンみたいのが
お風呂につかってるシーンを見るたびに
かわいいなぁと
思ってしまいます。